かくも無力なタクシードライバー 2014.11.12
シトシト降る雨の中での夜勤明け
タクシードライバーとは
かくも無力なモノなりし
川崎までと乗り込んできた女性
ナビに最寄駅を入力すると出て来た
距離数16キロメートル
女性いわく「多分寝ちゃうと思うので駅近くになったら起こして下さい」
かしこまりましたと言葉を返す
しばらくするとかすかな寝息らしきものが耳につき、より車の揺れが少なくなるよう気を付け目的地へ向かう
またしばらくすると寝言らしき事を
何やら悲しそうに苦しそうにもらし始める
そのうち声ならず寝ぼけながらか
何度も何度もピシピシと自分の体を
叩いているような音もたて始める
見ザル 言ワザル 聞カザル になって
ハンドルをきる
むやみにお客さんの時間に踏み込まない
体調があきらかに悪そうなものなら話は別だが、事情が分からないものが簡単に口を挟むのははばかれる
苦しそうな寝言と思っているのはこちらの勝手な思い込みで、本人にとっては案外お楽しみ中なのかもしれない…(;一_一)
何か力が必要ならば声をかけてくるだろう
出来る事は女性が苦しんでいるのならば
気持ちが少しでも楽になるようにと祈るぐらい
内心ヤキモキしながら、一見苦しげな寝言と
ピシピシ音と共に闇夜を走り抜ける
少しでも早く送り届けようとするが、
それを阻むが工事中の看板と警備員
それも大きめ、足止めくらい
背後から感じる目を覚ました女性のイライラ感
ようやく到着、
去っていく少しお疲れ気味の女性
真後ろで1人の女性が苦しんでいても
顔を向けることすらままならない
かくも無力なタクシードライバー