淡々と 2014.12.4
こたつに入りミカンをほおばりたくなるような寒さの夜勤明け
前のお客さんを降ろしてから、
30メートルばかり先にそのお客さんは立っていた
「青戸八丁目まで」 朝4時過ぎの乗車
車がまばらな道路をスムーズにスピードをあげ走らせる
「うん?うん、うん…」
突如小声で淡々と会話をすすめる男性
対照的にこちらまで聞こえてくる携帯越しの大きな女性の怒鳴り声
「そうだね、うん、うん…
うん?僕には君のその信じられないという言葉が信じられないな…」
「◎×♠…◇?!」 止まらない女性の怒鳴り声
「ごめん、ごめん、ごめん…」淡々と繰り返されるフレーズ
「あさって会えるのだから…ねっ?ねっ?ねっ?」
どうやら女性の気がおさまったのか徐々に小さくなる女性の声
段々と男性の声しか聞こえなくなる後部座席
「寝た?寝た?寝た?………ね……ネタ?…寝た?寝ぇたぁ?…ね…」
壊れたレコードのごとく淡々と同じフレーズを繰り返す男性
(。-`ω-) イイコダカラ オキャクサンコソ ネタラ イカカデスカ…?
朝日は徐々に上がり
お客さんの意識は落ちていく
その中を目的地をまっすぐ目指す吾輩は
寒がりなタクシードライバーである (p_-) ファ~
