TAKU氏の事件簿

タクシー車内で繰り広げられるドタバタ劇

ゆらゆら~とユラユラ~と 2015.9.27

タクシードライバー TAKU氏の事件簿
【渋谷 → 品川?編】 

※物語は事実を元にしたフィクションです
 

「1810円になります。丁度ですね。
ありがとうございます!」
渋谷のとある一角、小銭ときれいなお札を置いて
まだ日が昇らない闇夜の街中へその人は去っていった。

日報を記入し、メーターを戻す。
さぁ次だ!と安全確認の先に…、
待ってましたとばかりに手を上げている
男性が目に飛び込む。

すぐさまハザード、ゆっくりと近づく。
 

どうやら店員さんようで、
乗車は少し奥でへばり気味の男性。

勢いよく男性が乗り込んでくる。
ゴンッ!!!と頭をぶつけながら… (´゚д゚`) イタソ~…

「大丈夫ですか?」と声を掛けるが…
反応が……ない… (・・?

我慢してるのか、照れ隠ししているのだろうと思い、
「どちらまで行かれますか?」と聞くが…、
またもや…反応ない…。 (・・??

「お客様?どちらまで行きますか?」声を大きく尋ねる。

ボソボソッと何かを言いながら、前を指し指を上へ動かす。
もう一度尋ねる、
「…ぇいと…」とようやく届く微かな声。

少し考える… ウェイト…待て!…かな?
いやその割にはしきりに前を指す…?
もう少し考える… (ー_ー)!! 
車内灯を付ける! ライトだった。 

明るくなった車内、
ガソゴソとウエストポーチの中身を探り出す。

なにやら中国語らしき言葉をボソボソッとつぶやきながら
何かを取り出そうとしているお客さん。
 

なかなか動かない車…。

何してんの?とばかりに見てる
外の店員さんの視線がどことなく痛い…。( 一一) イキサキ ワカラナインダモン…

どうしようもない待ち時間。

これでもない、それでもないと…ポーチからカードを
出しては~しまい、
出しては~しまいが繰り返されている後部座席…

10枚ぐらいカードが出ただろうか、
ようやく口が開く
「シ…ナガワ…、シナガワエ…キ!」
「品川駅ですね!かしこまりました!」
「ア…アリガト…ゴザマス…」

目的地確認!
待ってましたとばかりに走らせる車。 ( ̄▽ ̄) ヨッシャー!

途中信号で止まり、ルート点検しようとナビを入力中、
「ガチャ!」っと後ろから音が…。

(´・ω・)? 何?とばかりに振り返る…
なぜかドアを大きく開けようとしているお客さん…

中国語でなんと言うのか考える余裕などなく
急いで日本語で話しかける。Σ(´∀`;)

「お客様?危ないですよ!勝手にドアを開けないで下さい!」

(・・? ポカーンとしてフラフラと揺れているお客さん…

「ここはまだ品川駅ではないので、ドアを閉めさせてもらいますよ」
急な出来事にドキドキしながら、ゆっくりとドアを閉める。

「シナガ…ワ…」
「はい、品川駅に向かっていますのでしばらくお待ちください」
 

(。-`ω-)… これは早く品川駅に着かなければ
何が起こるかわからないと、
気持ちを引き締めアクセル踏む。

恵比寿駅近く。またもや信号待ち。
「エ…ビス!」とつぶやく声。
同時にまたドアを開けるお客さん。\(゜ロ\)(/ロ゜)/ エ~ マタ~?

「お客さん、品川駅はまだまだですよ?!」

なぜかゼスチャーでここで降りる!を繰り返す。

それではと「料金は730円になります」と伝える。

ゆらゆら~と、そのまま出ていこうとする男性。

ちょ…ちょっと待ってください!と何とか引き留める。
(´・ω・)? 何で止めるの~?とばかりに不思議がる顔。

繰り返し支払いをお願いする。

指を吾輩に向け「You?」と呟く男性。

「730円になります!」
ようやくお金を取り出そうとする動きが見えホッと胸をなでおろす。


後ろの光景になぜか感じるデジャブ…

これでもない、それでもないと…ポーチからカードを
出しては~しまい、
出しては~しまいが繰り返されている…
(。-`ω-) コノコウケイハ ドコカデ…ハテ?

ようやく出てきたクレジットカードで決済。

すったもんだの後、男性はゆらゆら~と車を降りて行く…。

少し先での信号待ち、後ろを振り返る。
男性は変わらぬその場でまだ
ゆらゆら~とユラユラ~と揺れていた…。

自動代替テキストはありません。